叶う。 Chapter2

静寂が続くだけで、何故こんなにも悲しくなるのだろう。

気がつくと私は涙を流してた。

別に悲しいとか、そんな気持ちなんか全くなかったのに。
何故だかその涙は止まる事がなくて、私は自分の心が行方不明になってしまったかのような気分だった。


「････ごめん、かなう･･･。」


背後から聞こえてくる和也の言葉が、なぜか余計に心を乱す。


「･･･気付いてやれなくて･･ごめん。」


そう言われた瞬間、私の背中に伝わる温もりに私の涙は更にポロポロと零れ落ちた。


「そんなことがあったのに、俺全然知らなくて･･･かなうとお兄さんが何かあるんじゃないかって、俺そんなこと疑ってた･･･本当にごめん。」


私を背後からぎゅっと抱き締めながら、和也ははっきりとそう言った。

やっぱり疑っていたんだと思った反面、これでもう疑われる事もないだろうと思うと少しだけ安心した。
だけど不思議と涙は止まらなくて、目の前が滲んでよく見えなかった。


「････私、き、きたない、の･･･」


「汚くなんかないよ。」


「だって、わた、し････」


「もういい、何も言わないで。」


和也はそう言って、ただ強く私を抱き締め続けていた。
その体温の温かさに、私はただ涙が止まるまで泣き続けていた。