叶う。 Chapter2
――――――結局。
和也は私の涙が止まるまで、じっと私を抱き締めていた。
和也の中で、私の頭痛はその時のフラッシュバックだと勝手に思っていたみたいだったけれど、その方が全てが丸く収まりそうな気がしたので私はもう何も言わなかった。
和也はうんざりするくらい謝ってばっかりだったけれど、私はただ首を振り続けていた。
別に和也は何一つ悪い事なんてしていないのだから。
だけれど、その話をしたところで和也は私と別れる気は更々なかった様子でずっと優しく私を気遣ってくれていた。
だから私も、そんな和也の事が前以上に好きになった。
私を見つめる優しい瞳が、何故かとても心を落ち着けてくれる。
耳に聴こえる優しい声音が、私の心を安定に導いてくれる。
出来る事ならば、このままずっと一緒に居たいと思った。
和也の傍で、同じ景色を見て同じ色を記憶に刻みたいと何故か私は切実にそう思った。
そんな夢のような事は、私には必要じゃない事のはずなのに。
そんな自分の心が分からなくなった。
憎しみだけで生きている私が、何故そんな事を思う必要があるのかと何度も考えてみたけれど、結局その答えを出す事は出来なかった。
この日、和也は終電の時間までずっと私に寄り添っていた。