叶う。 Chapter2
そんな和也のおかげで、私は厳しい練習も何とか耐え続ける事が出来た。
飴と鞭じゃないけれど、私は和也が居なければ発作的にこのマンションの屋上から飛び降りていたかもしれないほど、色々な意味で追い詰められていた。
僅か1週間で体重は更に2kgも落ち込んだ。
それでも私はまるで何かに追い立てられるように必死にピアノのレッスンを続けてた。
そんな地獄のような日々も、明日で全てが終わる。
発表会前日の金曜日、私は学校を休んで朝からピアノ教室にやってきていた。
そして朝から夕方まで先生の家で練習を続けていた私は、先生の盛大な拍手によって、最後の練習を終えた。
「アンナ、本当に良く頑張ったわ。」
先生は涙ながらにそう言って、私の手をぎゅっと握った。
「先生のおかげです。明日、絶対にグランプリ取ります。」
「大丈夫、貴女の努力は絶対に認められるわ。先生本当に感動しちゃった。ほんとに良く頑張った。例えグランプリが取れなくても、先生は貴女に教えられた事を誇りに思うわ。」
先生は泣きながらそう言って、私を抱き締めた。
「先生、ありがとうございます。」
私はそんな先生の言葉が何だかすごく嬉しかった。
あの子じゃなくて、私に対して言われたその言葉に何故か胸がいっぱいになった。
そして明日は絶対に、優勝してみせると改めて心に誓った。