叶う。 Chapter2



"今から直ぐ行くから、駅ビルの中に居て!"


「う……うん。」


"絶対人が多いところに居てよ!何かあったら直ぐ電話して‼"


「うん……わかった。」


"10分ぐらいで着くから!"


和也はそう言って大層慌てて電話を切った。

私は携帯をコートのポケットに滑り込ませると、小さく溜め息を吐いた。

あの日以来、和也は少し神経質過ぎるくらいに過保護だった。

まぁ、あんな話をしてしまったのだから多少は仕方がないかもしれないけれど、何だか和也は毎回私が常に誰かに狙われてるんじゃないかと思わせるくらいの心配のしようだった。

凛達にはいつも愛されてるねって笑われるけれど、あまり過保護過ぎるのも正直疲れてしまう。

だけれどそれだけ大切にされていると、身をもって体感しているし、私も何だかんだ言っても和也が好きなので、あまり気にしないようにしている。


私は駅ビルの中に入り、入口付近で和也が来るのを待った。


和也は宣言通り、10分かかってないくらいで私の前に息を切らせて駆けつけた。


「お待たせ。」


きっとスクールに居たんだろう和也は、この寒いのにダンスのレッスン着にパーカーだけを羽織っていた。

私がそんな格好で出歩いたら、間違いなく翌日に熱を出すだろうと思う。
健康優良児の和也がほんの少し羨ましいと思った。







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