叶う。 Chapter2




明日の朝が早いので、今日はママが仕事を休んで家に居る。

朝、ピアノに向かう前に終わったら、和也と少しだけ会って来ると伝えてあるので、多分まだママもそんなに気にする時間じゃないと思ったけれど、念のために和也とケーキを食べて帰るとメールを送っておく事にした。


私がメールを送って携帯をテーブルに置くと同時に、店員さんが注文のケーキをテーブルに運んできた。

甘い良い香りが珍しく食欲をそそった。
私はフォークを手にして頂きますを言ってから、イチゴのタルトを少しずつ口に運んだ。

仄かな酸味と甘くてサクサクした生地が、とても美味しくて幸せな気分になる。


「いよいよ、明日かぁ。」


和也はそんな私を優しく見つめながら、自分もケーキに手をつけ始めた。


「なんか、明日って気がしないよ。」


和也の言葉に、思わずそう言った。
実際明日なんだけれど、和也と一緒に居るおかげか何だか凄くリラックスしている。


「なんかあっという間だな。俺ら付き合い始めて1ヶ月経ったの気付いてる?」


和也の言葉に私は驚いて目を丸くした。
何だかもっと前からずっと一緒に居るような気がしたし、何よりそんな事を考える余裕すら最近はなかったので、ただ純粋に驚いた。


「ご、ごめん……全然忘れちゃってた。」


隠しても感じが悪いので、私は素直にそう言って謝った。




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