叶う。 Chapter2
デザインもお洒落だけれど、何より私の目を引いたのはその日記帳の鍵だった。
シルバーで出来たネックレスのトップ部分に、ライターくらいの大きさのラインストーンが散りばめられたト音記号がぶら下がってる。
そしてト音記号の下の部分が、日記の鍵になっているのだ。
そのままアクセサリーとしても使えてしまいそうなくらいお洒落なのに、それが日記帳の鍵になっているなんて、本当に素敵な贈り物だと思った。
和也のセンスの良さはきっと、雑貨店をやっているらしい父親譲りなんだろうとふと感じた。
「気に入ってくれた?」
あまりの感動で一言も喋れなかった私は、無言で何度も頷いた。
「あ、りがと……本当に嬉しい……」
やっと絞り出した声が、微かに震えてしまった。
私は震える指先で鍵のネックレスを手に取ると、そっと手のひらにそれを乗せた。
ラインストーンが光に反射して、キラキラと輝きを放った。
私はそれを握りしめて、思わず泣いてしまいそうだった。
どんなに高価な宝石よりも、何よりも、この鍵は私の宝物になるだろうと思った。
「ありがとう。明日着けて行くね。」
「気に入ってくれて良かったよ。日記も書いてね。」
和也はそう言って、いたずらっ子みたいに笑った。
「俺の事大好きって、ちゃんと毎日日記に書いてねw」
和也はそう言って笑ったけれど、私はこの時和也と全く同じ事を考えていた。