叶う。 Chapter2
この日記は決して誰にもバレないように、和也との思い出を綴っていこうと思っていた。
私にはやるべき事がある。
それは復讐という名の制裁、それはきっととても醜くて、穢らわしい事ばかりだろう。
だからせめて和也との思い出は、大切に記憶に残しておきたい。
いつか、自分が消えてなくなる存在だったとしても。
この日記だけは、鍵をかけて残しておきたいと切実にそう思った。
「ちゃんと毎日、日記書くね。」
「うん、たまに見せてw」
和也は笑ってそう言ったけれど、私も曖昧に笑っておいた。
見せることは多分、ないけれど。
それでもやっと笑顔になった私に安心したのか、和也はその後もずっとご機嫌だった。
「お、そろそろ帰った方が良いかな?」
楽しい時間が過ぎるのは本当に早くて、和也がそう言って時計を確認したのは7時近かった。
本当はもっと一緒に居たいけれど、後30分で和也もレッスンだし、私も明日の為に早く寝た方が良い。
私達は駅ビルを出ると、しっかりと手を繋いで帰り道を歩いた。
「ダンス遅刻しない?大丈夫?」
時間が結構ギリギリだったので私がそう聞くと、和也はこの前ちょっと遅刻して先生を怒らせたと言う話を始めた。
それでも和也は毎回きちんと、家まできっちり私を送り届けてくれるのだった。