叶う。 Chapter2




「あら?なんで出ないのかしら?」

ママはそんな風に不思議そうに言ったけれど、レオンの一言でいたくご機嫌斜めになった。

「取り込み中だろ?」

レオンは不適に笑いながら、そんな事を言ったのでママはすかさずその頭を叩いた。

「もう、明日早いのに!」

ママはそう言って、自分の携帯を取り出すとその場でシオンに電話を掛けた。

ママは暫く耳に携帯を当てていたけれど、どうやらシオンは電話に出ないようだった。

「全くもう。最近はシオンまでだらしない。」

ママのだらしない基準が良く分からなかったので、私は曖昧に笑っておいた。

「まぁ、良いわ。とにかくアンナは早くご飯食べてゆっくり休んで。先にご飯にしましょう。」

ママはそう言って、未だ頭を擦るレオンを横目に睨みながら、またキッチンに入った。

今日のメニューはシーフードシチューとローストビーフのサラダだった。
それは両方私の好物だったので、ママが私に気を利かせてそのメニューにしてくれたんだと思った。

最近は食事すらまともに採れなかったから、少しでも私が食べやすいメニューにしてくれたんだと思うと、ほんの少し嬉しかった。

3人で食卓に着くと、何故だかとてもご飯が美味しかった。
レオンは相変わらず、楽しい話を聞かせてくれるし、ママもすっかりご機嫌が直った。

シオンの冷たい視線を感じないだけで、こんなにも楽しく食事が出来る。

毎日がこうなら良いのにと、ちょっとだけそう思ってしまった。





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