叶う。 Chapter2
今日行ったケーキ屋さんの事。
サプライズのこの日記帳の事。
和也が言った言葉。
優しく私を見つめる眼差し。
帰りにぎゅっと抱き締められた事。
優しくキスをしてくれた事。
私は思い出せる限り、鮮明に和也と過ごした時間を日記に綴る。
それを思い出しながら書くのはとても楽しい作業だった。
私が夢中になって日記を書き綴っていると、膝の上においた携帯が突然震動した。
キリが良かったので、私は携帯の通話をスライドさせると日記を綴じて鍵をかけながら電話に出た。
「もしもし。」
″かなう?ごめんな、さっき出れなくて!″
電話は和也からだった。
「大丈夫だよ。遊んでるの?」
和也の背後が騒がしかったので、私はそう聞いた。
″最近付き合い悪いって、晃がしつけぇから皆で飯食ってたんだ。″
「そうなんだ。邪魔しちゃってごめんね。」
″いや、全然邪魔じゃないし。むしろごめんな、明日大変なのに連絡遅くなって。″
「ううん。私こそ、もうそろそろ寝るから、連絡待てなくてごめんね。」
何だか背後が騒がしいので、和也の声が聞き取りにくい。
私はそれに少しだけイライラした。
″マジか?もう寝ちゃう?″
「うん。明日早いから。」
″了解。ちゃんとゆっくり休んでな。″
「………。」
和也の雰囲気はいつもと変わらない。
だけれど、私は何だかひどく気分が悪くなった。
だから思わず言葉を飲み込んだ。