叶う。 Chapter2
幼い頃からずっとそうだった。
幼いながらに、私は沢山の大人と接して生きてきた。
大人達は私が″良い子″にするように、わざと優しくした。
綺麗な人形を持って来たり、美味しい御菓子を持って来たり、可愛い服を着せたり、それを見て喜ぶ私を欲に濡れた瞳でじっと眺めていた。
会う度にこの人だったら、と何度もそんな事を考えたけれど、私の願いを叶えてくれる人は居なかった。
私が望んでいたのは、絶対的な信頼関係だった。
普通に生きていたらまともな環境なら、それは産まれて直ぐに築かれるはずのものだ。
親から与えられる愛情に勝る信頼は、きっと何事にも代えられない。
私にはそれがなかった。
だからいつしか私は誰も信頼しなくなった。
和也だったらって、何故かそんな気持ちになっていたけれど、やっぱり違ったみたいだ。
私はひどく弱っていただけに過ぎない。
それも明日で終わる。
明日さえ乗りきれば、私はまた復讐の計画を練る事が出来るし、和也は暇潰し程度の楽しみにしておけばいい。
私は携帯を手に取り、直ぐに和也に電話を掛けた。
気持ちを整理した今のうちに、きちんと話しておくべきだと思った。
もう迷わない。