叶う。 Chapter2
黒のドレスに似合うように、綺麗に縁取りされたアイラインに、ラメの入ったマスカラをしっかりとつけて、シルバーグレーのグラデーションのアイシャドウをのせると、ハイライトを入れて華やかに仕上げた。
みるみる変身していく顔は、見ていてとっても楽しかった。
そして1時間もかからないうちに、私は変身を終えた。
ママは本当に、その人に似合うメイクや服装を選ぶのが上手いと思った。
レオンは私を見てあんぐり口を開いてたし、シオンも何だかいつもより不思議な視線でそんな私を眺めた。
「あーちゃん、本当に化粧すると化けるね。」
鏡を見つめてチェックしている私に、レオンは楽しげにそう言った。
「アンナは元が良いのよ!」
メイクボックスを片付けながら、ママがそんな事を言ったので、私は少しだけ恥ずかしくなった。
だけれど、化粧映えするのは良い事だ。
何時もと違う顔になれるのは、色んな意味で都合が良い。
人間悪さするには、自分の存在をなるべく隠したいものだからだ。
復讐を誓う私にとって、これは大きく影響するだろうと密かにそう思った。
私がバッチリと支度を終えると、ちょうど兄達もご飯を食べ終わり、各々部屋へと引き上げて行った。
そしてママも、支度をしに自室に向かったので、私も荷物をまとめるために部屋へと向かった。