叶う。 Chapter2




なぜならシオンは唯一私の存在を知っている。
だから隠すことも必要ないし、私が望めば手を貸すとさっき言っていた。

それが例え犯罪だろうと何だろうと、あの子の為ならシオンはきっと何でもするだろう。

私はそう思ったと同時に、シオンは一体何者なんだろうと考えを廻らせ始めた。
その只ならぬ人と成りは、やっぱりきっと何か大きなものを背負っているように感じずにはいられない。

だけれど、それを聞いてもシオンはきっと教えてはくれないだろう。

自分で調べるしか方法はないけれど、シオンはきっと尻尾を掴ませるような真似はしないだろう。



私がすっかりと落ち着いてそんな事を考えていると、もう何度目か分からない拍手の音に合わせて、私は無意識に手を叩いた。

進行役の女性が、10分の休憩を挟んで高学年の部に移ること会場に向けてアナウンスすると、途端に会場が賑やかになった。


私は荷物を手に取ると、控え室に行く準備を始めた。


「さぁ、アンナ行きましょう。」


ママがそう言って私を連れて行こうとしたけれど、シオンがそれを遮った。


「衣装とメイクだけ直させて、俺が連れて行く。」


シオンがそう言ったので、ママは不思議そうに私とシオンを交互にみたけれど、特に何も言わなかった。

きっとママは何かを察していたんだと思ったけれど、今は正直ママよりもシオンが傍に居た方が良いと私も感じていた。


先生とレオンに励ましの言葉を貰って、私はママとシオンに付き添われてホールを出た。




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