叶う。 Chapter2
部屋に戻った私は、鏡台に座って丁寧に髪を手入れする。
あの子は全く自分を磨くことすらしなかったけれど、私は肌の手入れも欠かさずしなくては。
少し手を加えるだけで、こんなにも美しくなれるのにやっぱりあの子の頭の中身は空っぽだったに違いない。
手入れが済むと、明日の学校の支度を始めた。
授業には特に興味はないけれど、学校では良い子にしておくつもりだった。
その方が色々と都合が良い。
私は支度を終えると、鞄から携帯を取り出した。
時間を確認すると午後の10時だったので、“彼氏”に電話を入れるのには丁度都合の良い時間帯だ。
アドレス帳から和也の名前を選んで通話をタッチした。
数回の呼び出し音が鳴った後、和也はすぐに電話に出た。
「もしもし?」
“もしもーし?かなう?”
「今、大丈夫?」
“ちょうど風呂出たとこ、ってか転んだって大丈夫なの?”
「うん、かすり傷だったから大丈夫だよ。」
“そっか、なんかあったのかと思ってマジで心配だったんだけど・・・まぁ、元気そうで良かったよ。美容院どうだった?”
「うん、髪切って染めてみたんだけど、どうかな?」
“まぁ、かなうは何しても可愛いから、明日楽しみだな。”
和也はそう言って、電話口で照れたように笑った。