叶う。 Chapter2
でもきっと、心を許す事はないけれど、私はほんの少しだけ和也に更に興味が湧いた。
暫くそんな普通のカップルみたいな会話を続けていたけれど、流石に長時間演技を続けるのは正直疲れてきた。
「あ、もうこんな時間なんだ。そろそろ寝ないと・・・。」
私は少し名残惜しい雰囲気を醸し出しながら、和也にそう言った。
“うん?かなうもう寝るの?”
「うん、なんで?寝るよ。」
“いや、前にあんま寝ないって言ってたからさ”
私は一瞬だけヒヤリとした。
そういえばあの子は不眠症だったことを思い出した。
「何か最近眠くて、体調のせいかなぁ。」
“そうなの?まぁ、まだ本調子じゃないのかもな。風邪引いてたし。”
「うん。」
“りょーかい、じゃあ明日朝一緒に行こうぜ”
「うん!駅に着いたらメール入れるね。」
“オッケー、じゃあまた明日な。”
「うん、おやすみなさい。」
“おやすみ~”
私は電話を切ると、ベッドに放り投げた。
危ない危ない、ちょっと油断した。
まさかあの子が自分が眠れない事を和也に話していたなんて、想像すらしていなかった。
私の記憶が正しければ、2人はまだ知り合って間もないしそんな事を話す間柄でもなさそうだったけれど。
他にも何か知っているか分からないので、少しだけ注意しよう。