叶う。 Chapter2
そんな私にレオンはまた可笑しそうにクスクス笑いの発作がおきたみたいだった。
「あーちゃん、本当に素直だよなww」
レオンはそう言って、私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
何だかその仕草は、あの子と同じ扱いをされている気分で気に触るけれど、そんな私達のやり取りを横目で見ていたシオンの表情が何だか優しげだったので、私はされるがままレオンにからかわれていた。
通りすがりの人達が物珍しげにそんな私達を眺めたり、シオンとレオンの知り合いなのか、若者が頭を下げているにも関わらず、レオンはそれを無視してクスクスと笑う。
そして一頻り笑いの発作が治まったレオンは、また私の手を優しく繋ぐと先を歩くシオンを追って裏路地に向かった。
その道は、私は1度も通った事がなかった。
と、言うよりもそこに道があることすら知らなかった。
二人並ぶとすれ違う事が出来ないほどに狭いその道を、レオンに手を引かれながらゆっくりと歩く。
外の照明すら届かないその道は、何だか薄暗くてとっても怖かったけれど、レオンが私の手をしっかりと引いて歩いてくれたので、私は暗闇で躓かないように注意しながら歩いた。
暫くその道を進むと、見覚えのある場所に辿り着いた。
それはあの日、レオンがクラブから出た裏口がある場所だった。