叶う。 Chapter2




私は大人しく、頭の中で情報を整理した。


シオンはこの場所で、何かの薬を売り捌いていると言っていた。
だから多分、この場所を買い取ったのはそれをするのが本来の目的だったんだろう。

だけれどこんな建物を買うなんて、高校生であるシオンに出来るはずがない。

冷静に考えたら、シオンにそれをさせてる人間が居るって事だ。


ママがさせているのだろうか?
だけれど、いくらママでもそこまでの金額を出せる余裕があるのだろうか?

それにママは、如何わしい薬を売り捌くような事をさせる人間だとは思えない。
他人ならまだしも、自分のまだ未成年の息子にそんな事をさせるような人じゃないと思う。

それにママですら、普段からシオンに気を使っている気がするのだから、ママがシオンにやらせている訳がない。
シオンはそんな簡単に誰かの命令に従うような人間じゃない事は、私が一番良く知ってる。

だけれどこの場所で、誰が一番偉いのか考えたらやっぱりそれはシオンで間違いないだろう。


一体誰が裏に居るのか、それを調べるのはきっと簡単には出来ないのだろう。
レオンが口を滑らすか、シオンを嘘発見器にでも誘導しない限りそれを知る可能性はゼロに近いはずだ。


私は益々、シオンの事が知りたくて仕方なくなった。
と、言うよりもシオンがどうしてこんな事をしているのかの理由が知りたくなった。


それにシオンの事ばかり考えているけれど、おそらくやっている事はレオンも一緒なんだろう。





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