叶う。 Chapter2
私は今日あった沢山の事を日記帳に記した。
グランプリの事。
和也の愛の言葉。
美味しいお料理を食べた事。
クラブに行って恵令奈に嫌がらせした事。
シオンとレオンの秘密の事。
そこまで書いて読み直して、ふと気付く。
何故かは分からないけれど、日記の内容は印象に残った事や楽しかった事ばかりの内容だった。
あの忌々しい審査員の男や、樹の事等は何故か書きたい気分にならなかった。
なぜ書かないのか自分でも良く分からない。
私は深くは考えずに、日記帳をパタンと綴じて鍵をかけた。
時刻は1時半を少し過ぎた時間だった。
相変わらず携帯は鳴る気配がなくって、私はもう一度和也に電話を掛ける事にした。
お風呂に入りたいし、シオンにも呼ばれてる。
和也の番号をタッチして、耳にあてながら鞄を漁って荷物の整理を始めたけれど、暫く待ってみてもやっぱり和也は電話に出なかった。
私は溜め息を吐くと、携帯を充電器にさして和也にメールを送った。
なんで電話に出ないのかは謎だけれど、そういう時もあるだろうと、何故か私の心はひどく冷めていた。
″遅くにごめん。さっき帰って来たの。疲れたから今日は寝るね、おやすみ。″
私はそれが、送信されたのを確認するとそのままバスルームに向かった。