叶う。 Chapter2
それにこれもあくまで予想だけれど、父親の存在を知っているのは多分家族だけだろう。
柴崎さんは何故か知っているような気がする。
それは柴崎さんが″真っ当″な仕事をしているように見えないからだ。
私には詳しくは分からないけれど、あの余裕のある雰囲気と、鋭い目付きが何故かそう思わせる。
多分、柴崎さんはどこかの裏組織の人間である事はなんとなく分かる。
私がそんな事を考えながらベッドでゴロゴロしていると、用事が済んだのかシオンが立ち上がって着ていたニットを徐に脱いで抱えたまま部屋を出て行った。
多分お風呂に行ったんだろうと思ったけれど、私は気にせずベッドでゴロゴロし続けていた。
何だか色々と考え過ぎて頭が痛くなった。
そして私は考えるのを、やめることにした。
今日の出来事よりも、私にはもっと大事なやることがあるのだ。
私はゆっくり起き上がると、シオンの机に置かれた書類と台帳らしき物を覗き見しに行った。
それは本当に仕入れの伝票書類と台帳だった。
なんだか期待外れでがっかりだったけれど、私は無意識に台帳をパラパラと捲った。
台帳には1日の集客数や、売り上げ、仕入れから販売に至るまで事細かに記載されている。
学年トップの成績を維持しながら、こんな事までやっているなんて、シオンはやっぱり人間じゃないんじゃないかと思った。