叶う。 Chapter2
私は本当に無意識にそれをずっと眺めていた。
沢山考えた頭はズキズキと痛んだし、また偏頭痛を起こしたくもなかったので完全に無意識だった。
台帳をパタンと閉じると、シオンがいつ戻ってくるか分からないのでベッドに戻ろうとしたその時、私の視界にあるものが映った。
それは机に無造作に置かれた、茶色い革表紙にゴールドのラインが入った本だった。
表紙には“the bible”と書かれているので、それが聖書であることは直ぐに気がついた。
インターナショナルスクールに居た時、あの子は毎日のように聖書を読まされた。
私もそんなあの子の目を通していつも見ていたから今でも微かに記憶に残っている。
それはあの子が行ってた学校がカトリックの学校だったからだけれど、私はなんとなく懐かしく思ってそれを手に取った。
パラパラとページを捲ると、ある場所でページが止まった。
そこには古ぼけて小さく折畳まれたメモが挟まっていた。
それを見つけた瞬間、私は途端に何故か自分の心臓がドキドキと鼓動を刻むのが聴こえた気がした。
見てはいけない物だとは分かっている。
だけれどひょっとしたら、シオンですら挟んだまま忘れている物かもしれないし、何も書いてないのかもしれない。
しばらく頭の中でそんな葛藤を繰返したけれど、結局私は好奇心に勝てなかった。