叶う。 Chapter2
シオンの身体から、私の身体に移された“それ”は確実に私の体内に残されたままだった。
不規則だけれどもうきちんと生理もきている私には、それがとてもまずいことだと理解出来ている。
「・・・・薬・・・ちょうだ、い。」
それだけはあってはいけないと思い、私はシオンにそう言った。
シオンだって、万が一私が妊娠なんてしたら困るだろうとそう思った。
「必要ないだろ?」
シオンは冷めた口調でそう言った。
私はその言葉に唖然として、大きく目を見開いた。
「だっ・・・て・・子供・・・・」
「子供?出来たらお前にとっては好都合だろ?」
「・・・え?・・な、んで・・・。」
「お前がこの家に残れる口実になるだろ?」
「・・・・。」
「それとも、追い出されたいのか?」
「なんで、急に・・・そんなこと言うの?」
「お前は知らなくて良い事まで知ったからだ。」
シオンは冷たくそう言い放つと、驚愕して声すら出せない私を置いて着替えをして部屋を出て行った。
私は恐怖で引き留める事すら出来なくて、ただ唖然とシオンのベッドにへたり込んでしまった。
まさか、シオンがそんな事を言い出すなんて思いもしなかった。
それにあの言い方だと、シオンはきっと私を追い出したいくらいに憎んでいるような気がした。
誰も居ない室内はとても静かで、私はあの子と同じくその静寂がなぜか無性に嫌いになった。