叶う。 Chapter2
その瞬間、中で何かがバタっと倒れる小さな音がした。
だけれど直ぐにその扉が少しだけ開いた。
「あーちゃん?」
10㎝くらいの隙間から顔を覗かせたレオンは、不思議そうに私を見つめたけれど、直ぐにその扉を開けてくれた。
「どうしたの?」
レオンは何かを察してくれたのかそう言って、私の肩を抱いて部屋に入れてくれた。
多分私の泣き腫らした目とボロボロな姿に驚いたんだろうけれど、レオンは何も言わずに私をソファに座らせると、自分もその隣に静かに座った。
何だかレオンの顔を見て安心したのか、私はまた涙を流し始めた。
きちんと説明したいのに、何故か涙は止まる事がなくて私は泣きながら俯いた。
レオンはそんな私の頭を、子供をあやすように優しく撫でてくれる。
そんな優しい仕草に、私は益々涙が止まらなかった。
「・・・・シオンに何かされた?」
どうして分かったのだろうかと思い、視線を上に向けるとレオンの顔が涙で歪んでよく見えなかった。
レオンはそんな私の目に、自分の服の袖を当てて涙を拭き取った。
「あーちゃん、シオン怒らせたの?」
レオンは優しく私にそう聞いた。
私は返事をしたかったけれど、声が出なかったので頷いた。
「・・・・だからアイツ機嫌悪かったのか。」
レオンはそう言って、また私の髪を優しく撫でる。
その体温の温かさに、私はまた涙が溢れて止まらなかった。