叶う。 Chapter2
「シオンに何されたの?」
レオンはそう言って自分の飲みかけのペットボトルの水を私に差し出した。
私は喉がカラカラだったから、遠慮せずにそれを飲み込んだ。
おかげで喉がだいぶマシになった。
私は何度かしゃくり上げたけれど、ゆっくりとレオンに事情を話し始めた。
「シオン・・・がね・・・。」
「うん。」
「子供の頃、の、シオンに、なちゃった・・・」
「あー、うん、何か最近おかしいとは思ってたけど。」
レオンはそう言って、膝に自分の肘を立てるとその上に顔を乗せた。
そしてシオンそっくりの蒼い綺麗な瞳で、私の瞳をじっと見つめると静かにこう言った。
「ずっと疑問だったんだけど、君は誰?」
レオンはそう言って、いつもみたいにニッコリとした笑顔を私に向けた。
やっぱり気付いていたんだと思って、私はレオンにつられて少しだけ笑顔を見せた。
「私にも分からないの。ただ、あの子が耐えられなくなると、いつの間にか私に入れ替わってた。」
「そうなんだ。じゃあ君はアンナであってアンナでない存在なの?」
優しく私にそう問うレオンに、私は黙って頷いた。
レオンの優しい声音のおかげか、私はいつの間にか涙が落ち着いてきた。
同じ血を分けた兄弟なのに、何故もこんなにも違うのか。
見た目も同じ、声も同じ、だけれどこんなに雰囲気が違うだけでシオンとレオンは全くの他人みたいだ。