叶う。 Chapter2
「もう1つだけ確認させてくれる?」
レオンはそう言って、また私の瞳をじっと見つめたので、私は頷いた。
「君は前のアンナといつでも入れ替わる事が出来るの?」
私は何て答えるべきか、迷った。
もしイエスと言えば、アンナを出してと言われるだろうし、ノーと言えばシオンにその事がバレてしまう可能性がある。
私が、アンナを出せないと分かったらシオンは私をどんな目に合わせるか、想像することすら怖くて出来ない。
思わず身震いした私に気づいたのか、レオンは相変わらず優しい口調でこう言った。
「大丈夫、シオンには言わないから。」
レオンのその言葉に、私はゆっくりと視線を上げるとレオンの瞳をじっと見つめた。
その瞳はママみたいに真っ直ぐに私の瞳を見つめ返した。
多分、レオンは本当にシオンに伝える事はしないだろうと思った。
だから私は黙ったまま首を振った。
「そうなんだ。じゃあ君はアンナと会話することは出来ないんだね?」
「うん、それだけじゃないの。アンナは私の存在自体知らないの。」
私がそう言うと、レオンはすごく驚いた顔をした。
「じゃあ、君はどうしてアンナの記憶を持ってるの?」
「…………見てたから。アンナの目を通して、全部見てた。」
「なるほどね。じゃあ、ちょっと話を整理させてくれる?君はアンナの目を通して全て見ていたけど、だけどアンナはそれに気づいてなかった。だから君はアンナをコントロールする事は出来なかった。それで合ってる?」
流石に頭の回転が早い。
こんな少ない情報で、レオンの言う事は全て的を得ていた。