叶う。 Chapter2
私は黙ったまま頷いた。
「じゃあ、本題に入ろうか。君は何故今までその存在を隠していたの?」
「必要なかったから。」
「どういう意味?」
「あの子が私を必要としなかったから。」
「……それは何故?」
「私はあの子が耐えられない時にしか出てこれなかったの。」
「質問を変えよう、君はなんで生まれたの?」
「それは……あの子が母親に売られて、耐えられなくなったから。」
「なるほどね、じゃあ君はアンナの代わりに虐待を受けてきたってこと?」
「虐待なんて、生易しいものじゃなかった。知らない男達に、何度も何度も、私の身体は売られた。」
レオンの声音は凄く冷静だった。
だから、私も何故かすごく落ち着いたまま話が出来るのがとても不思議だった。
辛い過去を思い出すのは、吐き気との戦いだったけれど、私はすごく冷静にレオンにそれを伝える事が出来ていた。
「辛かったんだね。」
レオンはそう言って、私の髪を優しく撫でた。
その仕草に、私は思わずまた涙が零れ落ちた。
「君はアンナを守ってたんだね。」
私は何も言えずに俯いたまま、涙を流していた。
「君は偉いよ。俺と違ってさ。」
レオンはそう言って溜め息を吐いた。