叶う。 Chapter2
和也は昨日とは違い、まるで携帯を持って待ち構えてたんじゃないかってくらい早く電話に出た。
「もしもし?」
"かなう?ごめん、本当に!昨日気づいたら寝ちゃってて!本当ごめんな。"
開口一番に和也は慌てたように謝った。
「ううん、私こそごめんね。帰ったの遅くて連絡遅くなっちゃって。」
"いやいや、優賞祝いなんだから遅くなると思ってたんだけど、朝から親父の店手伝ってたから疲れてて、気づいたら朝だった‼"
和也はそう言って、心底残念そうに溜め息を吐いた。
「大丈夫だよ。全然気にしてないから。」
"そうなの?"
「うん、そういう時もあるでしょ?」
"いや、ちょっとくらい心配させちゃったかと思ったんだけどさ。"
「心配はしたけど、子供じゃないんだからW」
私がそう言って笑うと、和也もつられて笑った。
"だな。でも、俺はかなうと1日でも連絡出来なかったら発狂するよw"
和也がそんな事を楽しそうに言ったので、私は笑いながらこう答えた。
「じゃあ、今度試してみるね。」
"無理ムリ絶対、勘弁してよ。"
和也が慌ててそう言ったので、私も思わず笑ってしまった。
そんな風に楽しくお喋りしていると、私は何だかすごく落ち着いた。
和也の優しさか、それとも好かれている余裕なのか、やっぱりこうやって和也の声を聞くと、何故か心が安らぐ気がした。