叶う。 Chapter2
"ところで、今日の予定は?"
「特にないよ。ピアノはお休みだし、でもママがお休みだから出掛けるかもしれないけど。和也はダンス?」
"そうだな、時間あれば会いたかったけど。"
「ごめん、私本当に起きたばっかりで、まだリビングにも行ってないの。だから、まだ分からない。」
"了解!じゃあ、夕方にでも時間とれそうだったら会える?"
「うん、ママに聞いてくる。また後で連絡入れるね。」
"オッケー、じゃあ何かあったら俺も連絡入れるよ。"
「うん、じゃあ、また後でね。」
"りょーかい!"
私は和也の声が聞こえなくなると、直ぐに電話を切った。
私は大きく伸びをすると、ベッドから起き出した。
窓から差し込む陽射しのおかげか今日は部屋が暖かかった。
私は相変わらず重い瞼を確認するために鏡台に向かった。
鏡に映る自分の姿に、いつもの癖で盛大に舌打ちしたけれど、何故かシオンの事を思い出し、アンナならこんな態度はとらないはずだと思った。
今はあまりシオンを刺激したくないので、私はなるべくアンナのように振る舞おうと考えていた。
鏡に映った私はまるで怖い話に出てくるお岩さんのような姿だった。
優賞が嬉しくて大泣きした事にすれば良い。
多分、少し時間が経てば落ち着くはずだ。
私はボサボサになった髪を丁寧に直してから、部屋を出てリビングに向かった。