叶う。 Chapter2
たまにこうして、双子を起こしに行かされる事はあったけれど、私は今日ほど双子の部屋に近寄るのが嫌な事は今までなかった。
シオンは部屋に行くといつも起きてるから、ノックをしてご飯だと伝えれば良いだけだけれど、レオンは大体寝ている。
そしてレオンを起こすと必ずちょっかいを出されるので、あの子はいつも警戒しながらレオンに近付いていた事を思い出した。
シオンの部屋が近付くに連れて、私の心拍数が早くなるのが自分でも分かった。
なるべく普通に振る舞おうと思えば思う程、何故か身体が震えてしまう。
こんなんじゃ、ママが勘づくのも時間の問題だろう。
私はとりあえず落ち着く為に、最初にレオンの部屋に向かうことにした。
レオンの部屋の扉の前に立つと、耳を済ませた。
中からは物音一つ聞こえなかったので、私は扉を2回小さくノックしたけれど、やっぱり返事はない。
仕方ないので、私は扉をゆっくりと開けた。
シオンの部屋と造りは全く同じなのに、全然違うように見えるのは、きっと脱ぎ散らかされた服が散乱していたり、エレクトーンやギターなんかがその存在を主張しているからだろう。
昨日はそんなところまで観察している余裕すらなかったけれど、改めて見ると何だかごちゃごちゃしていて、レオンらしい部屋だと思った。
そしてベッドに視線を向けると、頭まで毛布を被った不自然な膨らみがある事に気付いた。