叶う。 Chapter2
私は脱ぎ散らかされた服を踏まないように避けながら、ベッドへと歩を進めた。
その膨らみは規則正しくゆっくりと上下に微かに動いているので、きっとレオンはまだ夢の中なんだろう。
私はどうやってレオンを起こそうか迷ったけれど、普通にその膨らみを揺すって起こすことにした。
「レオン、ご飯だよ。」
そう声を掛けながらゆさゆさとレオンを両手で揺すった瞬間、私は何故か世界が反転した。
途端に身体が重くなって、私はビックリしたまま固まった。
目の前には寝ぼけ眼のレオンの蒼い瞳がじっと私を見つめている。
息が掛りそうなその距離に一瞬ドキッとしたけれど、レオンはそのまま私の頬に軽くキスをすると、何事もなかったかのように起き上がった。
「おはよー、あーちゃん。」
そう言って悪戯っこみたいに笑う。
「アリスでもあーちゃんって呼べるから丁度いいね♪」
レオンはご機嫌にそう言うと、脱ぎ散らかされた服の中からパーカーを探り出してそれを着込んだ。
ベッドの上で天井を見上げていた私は、その変わり身の早さに呆気にとられていたけれど、次第に笑いが込み上げてきた。
レオンはあくまでも私でもアンナに対してでも態度を変える気はないようで、何故かそれがすごく嬉しかった。
私はベッドから起き上がると、そんなレオンにシオンも起こしに行かなきゃいけない事を告げた。