叶う。 Chapter2




レオンから何か聞いたのか、それとも偶々機嫌が良いのかは分からなかったけれど、4人一緒にテーブルに着くと何だかいつもと変わらない空気に心から安心した。


テーブルで手を組むママに習って、私達も手を組んで目を閉じた。


私は何故か頭の中で、今日一日がどうか平穏に過ぎますようにと祈りを捧げていた。


暫くすると「頂きます。」とママが言ったので、私も目を開いて同じように小さく頂きますを言った。


ナイフとフォークを手に取り、なるべくアンナみたいに行儀良く食事をするように心がけた。


食事の間、相変わらずレオンとママは楽しくお喋りしていたけれど、私は食事に集中した。

昨日までの私だったら、その会話に参加したり笑ったりしたけれど、何故か今日はそんな気分にもなれなかったし、何よりもアンナと同じようにたまに相槌を打ったりする程度でとにかく綺麗に見えるように食事をした。


ママはそんな大人しい私をほんの少し心配そうに眺めていたけれど、元々アンナだったのだからあまり気にはならない様だった。


だけれど丁寧に食事をするのはとても神経を使う作業だった。

アンナは良くこれでご飯を食べた気でいられると思ったけれど、あの子はいつも家族と食事するのが苦手だった事を思い出した。

何だかんだ言っても、アンナも気苦労が絶えない子だったことを思い出し、好き放題していた自分自身を少しだけ反省した。




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