叶う。 Chapter2
「うん、朝電話したけど、時間があったら夕方会えたらって。」
シオンの耳に届きませんようにと思いながら、私はママにそう言った。
「あら、そうなの?じゃあ、ソファ見に行ってから一緒に食事でも行きましょうか?」
ママは楽しそうにそんな事を言った。
私は何だか無邪気なママの発言に殺意が芽生えそうな気分だった。
「う、うん。和也喜ぶと思う。」
私はそう言って、ちらっと双子を盗み見た。
だけれど双子は話に夢中なようで、こちらの話は気にしていないようだった。
私はママに心の中で謝りながら、双子の様子に安心した。
「じゃあ、そうしましょう。あなた達はどうせ出かけるでしょ?夕飯自分達で食べて来てちょうだい。」
ママは双子に向き直るとそう言った。
「は?何で?」
レオンは全くこっちの話を聞いていなかったようだ。
「アンナと買い物ついでにご飯食べて来るからよ。」
ママがまた余計な事を言うかと思ったけれど、それだけしか言わなかったので私は神に感謝したい気分だった。
さっき祈りを捧げて本当に良かったと心から思った。
「りょーかい。」
レオンはそう言ったけれど、シオンは相変わらず無表情のまま、ママに対して頷いただけだった。
「じゃあ、支度してくるね。」
私はママにそう言って、リビングを出ようとしたその時・・・