叶う。 Chapter2
それから直ぐに駅に着いた。
電車の時間までまだ30分もあったので、私は近くのコーヒーショップでコーヒーを買って時間を潰した。
あの子はこういうお店に一人で入る事すら出来なかった。
いつも人目を避けてばかり居たし、何より頭が足りないからコーヒー1つ自分で注文する事すら出来なかったんだ。
私はあの子の中で、いつもそんなあの子に呆れてた。
でも、そんな事はもうどうでも良い。
私は温かいコーヒーをタンブラーに淹れて貰って、それを片手にいつもの電車がやって来るホームに向かった。
電車がやって来るまでまだ少し時間があったので、私は鞄から携帯を取り出して和也にメールを送った。
″おはよう。10分後の電車で行くからね″
それだけ送信して、携帯を鞄にしまった。
温かかったタンブラーを両手で持つと、もう冷め始めていて私はちょっとげんなりした。
だけれど、口を付けるとまだ少し温かくてほんの少しだけ身体が温まった気がした。
程なくして電車がやって来たので、私は急ぎ足でそれに乗り込むと、適当に空いている席に座った。
目を閉じて寝た振りをする。
学校までの30分は、なぜかとても長くてうんざりだった。