叶う。 Chapter2
「あら、あの子達が来るの?どうするアンナ?」
ママは何故か私に同意を求めた。
シオンときちんと話をしたいと思ったばかりだったのに、今はとてもタイミングが悪すぎる。
私は何も言えずママを見つめたけれど、ママは何でもない風に和也に笑顔を向けると信じられない言葉を口にした。
「和也君、この子の兄達に会ってみる?」
「あ、良いんですか?ご家族水入らずなのに、何か申し訳ないです。」
だけれど和也はそんな事言っても、兄達と会うことが全然気にもならないようだ。
その度胸は流石だと思うけれど、今ばかりは遠慮して欲しいと心から思った。
「良いのよ、全然。折角だし皆で食べた方が美味しいわ。」
ママは爽やかな笑顔でそう言って、店員さんに広い席に案内するようにお願いをした。
私はひとり、明日世界が終わると宣言されたような気分になった。
どうしてこんなに、運がないのだろうか。
よりによって、昨日の今日。
だけれどまだ可能性はある、ひょっとしたら予約を入れたのはレオンかもしれない。
可能性は0じゃない。
女大好きなレオンが、適当に女性とデートしに来るだけかもしれない。
私に残された道は、その可能性に掛けるしかない。
店員さんに案内された席で、私は和也とママに見えないようにテーブルの下で手を組んで祈った。