叶う。 Chapter2
学校のある駅に電車が着くと、私はのんびりと階段を降りて改札を抜けた。
「かなう、おはよう。」
すると背後から聞こえてきた声に反応して、振り返る。
そこに居たのはやっぱり和也で、私を上から下までしっかりと観察している事に気付いた。
「おはよう。」
私は特上の笑顔で和也にそう言った。
やっぱり、この人は私の好みだと思った。
体系も顔も、私を見つめるその優しさに満ちた視線も。
シオンの外見も好きだけれど、身体の小さい私にはシオンは大きすぎて威圧感がある。
「やばい、めっちゃ可愛い!」
私に近付くと和也はそう言って、私の髪を優しく撫でる。
だから私は恥ずかしい振りをしておいた。
俯いて、照れてる雰囲気を作っておく。
私は髪を撫でられるのが凄く不快だけれど、まぁ仕方ないだろう。
「また、可愛くなっちゃったな。」
「そ、そんな、事…ないよ?」
辿々しくそう言っておく。
「ん~、何か雰囲気変わった?」
「そ、うか…な?おかしい、かな?」
「いや、全然可愛い!けど、何かあった?」
和也はそう言って、首を傾げて私の目をじっと見た。
その黒い瞳に、一瞬シオンに見つめられる時と同じ感覚がして、私は戸惑った。
バレている訳がないのに、なぜか少しだけ不安になる。