叶う。 Chapter2
だけれど耳の良い私にはその溜息が聞こえてしまった。
各々に注文を済ませると、早速恵令奈がまた空気を読まずに私に声を掛けてきた。
「その子、この前言ってた彼氏なの?」
テーブルで指先をクロスして、和也をじっと見つめる。
「・・・そうですけど。」
和也は空気が読めるので、この子とあまり関わってはいけないと瞬時に察したんだろう。
恵令奈に爽やかな笑顔を一瞬だけ向けたけれど、直ぐに私に向き直り、今日溜まり場であったことを話し始めた。
ママも私の方を向いて、そんな和也の話しに一緒に参加し始めた。
私はなるべくシオンと恵令奈を視界に入れないように、二人が話しているのを聞いていた。
和也はダンスに物凄く詳しいので、ママは興味があるのか良く分からないけれど、ダンスについて色々と聞いていた。
この前食事に行った時は、和也の家庭の話がメインだったけれど今日はダンスの話でもちきりだった。
和也はレオンと同じで、説明したり会話を広げることがとても巧いし、ママも仕事柄人の話を聞くのはとても巧いので、何故か話題は尽きる事が無い。
なので、ついにはレオンもそんな和也とママの話に参加し始めたので何だか少しだけ場の空気が柔らかくなった気がした。