叶う。 Chapter2
私はなるべくシオンを刺激しないように、大人しく3人の会話に相槌を打ったり、微笑んだりして何とかその場をやり過ごした。
だけれど和也の成せる業なのか、レオンの成せる業なのかは分からないけれど、何故か二人はとても波長が合うようで、気付いてみたらレオンと和也は何故か二人で楽しそうに海外について会話をしていた。
私はその光景に心底安心した。
和也の注意が完全にレオンに向いたおかげで、和也はあまり私に構う隙がなかったからだ。
私は大人しく、その二人を眺めて居るだけで良かった。
だけれど何故か、隣に座っているママのご機嫌がさっきからあまりよろしくない。
ママは嫌な顔は絶対しないけれど、何故か恵令奈がお気に召さない様子だった。
シオンに寄り添うようにピッタリと密着しながら、恵令奈はママにやたらと話し掛ける。
ママに気に入られたいのか、恵令奈はやたらとママをおだてたり、自分の育ちの良さをアピールしていた。
私はあまり興味はなかったけれど、なんとなく恵令奈の話を聞いてみた。
「私は3歳からバレーとピアノを習わされていたんです。なので、あまり外の世界の勝手が分からなくて。」
どうやら箱入り娘がアピールポイントらしかったけれど、ママは何だか覇気のない視線で愛想笑いを浮かべてた。
シオンはそんな二人のやり取りをテーブルに頬杖をついて退屈そうに聞いていた。