叶う。 Chapter2
ママが折角優しく言い直したにも関わらず、恵令奈はその後はずっと周りに分かるくらい不機嫌だった。
それでも、レオンや和也のおかげで何とかその場の空気は落ち着いていて、シオンですらいつの間にか和也に明らかだけれど、愛想笑いをするくらいだった。
みやと呼ばれる謎の女性は、あくまでも喋れない設定らしく終始無言で食事をしていたけれど、その食べ方はとても綺麗だった。
それでも私はやっぱりあまり食欲が湧かず、和也の取り分けてくれたお肉と、サラダを少し食べた。
「もっと食べないと!」
和也はそう言って私に何とか食べさせようとしたけれど、私が首を振ったので渋々と諦めた。
一時はどうなる事かと思ったけれど、何とか無事に皆で食事を食べ終わった。
皆が食べ終わると、ご馳走さまをして私は食器を丁寧に片付けた。
恵令奈は相変わらず不機嫌で、食事も殆ど残したけれど、ママは呆れてしまったのか注意すらしなかった。
「和也君時間大丈夫?」
食事を終えたのは7時半間際だったので、ママが慌ててそう言った。
「あ、楽しくてすっかり忘れてました!」
和也はそう言うと、時計を確認して慌て始めた。
「大丈夫、車直ぐ出すから行きましょう。」
ママはそう言うと、シオンにカードを渡して支払いをするように言った。
「それじゃあ、お先に失礼します。色々勉強になりました。ありがとうございました。」
和也はシオンとレオンに向かって、愛想よく丁寧にそう挨拶をして、隣に座っている私の手を取るとママと一緒に席を立った。