叶う。 Chapter2
「うん、俺も楽しかった!今度さダンス見せてよ。」
レオンは和也にそんな事を言ったので、和也は喜んでと言って笑った。
私はそんな二人を微笑ましく眺めながらも、和也に手を引かれるまま慌ててママの後を追った。
なんとなくだけれど、シオンと視線を合わせられなかった。
私はアンナじゃないけれど、アンナの姿が他の人と手を繋いで歩く姿はシオンには嬉しい事じゃないだろうと思ったからだ。
だけれど私の心はもう決まっている。
ママの今日の言葉で、私は自分が後悔しない生き方を選ぼうと思ったのだ。
その為には、きちんとシオンと話をして自分の気持ちを伝えなければいけない。
もし許されるなら、私はアンナの代わりにシオンの心を支えたい。
だけれどそれはきっとシオンは許さないだろうし、私を愛する事もないだろう。
それならば、家族として一緒に生きて行く事を私はシオンにお願いしようと思った。
私はどんなに努力しても、アンナにはなれない。
だけれどそれでも、私を愛してくれるママやレオンや和也には、きちんと向き合いたい。
それは私の我儘なのかもしれないけれど、だけれどそれでも私は生きていたい。
そしていつの日か、ママみたいに幸せだと言いたい。
それを叶える為には、今しなくてはいけない事を一つ一つ解決していくしか方法はない。
沢山泣いたからか、私は本当の意味での大切な事にやっと気がついたのかもしれない。