叶う。 Chapter2
「髪が変わったからかな?」
和也はそう言って、私の髪を指先に巻き付けて遊んでる。
何故だか視線を合わせるのが、ほんの少しだけこわかったので、私はこう言った。
「き、今日は……メイクもしてみたの。どうかな?」
そう言って、上目遣いで和也を見る。
「ん?だから、かw」
和也はそれで納得したようで、またいつもと同じく優しく笑った。
「良く似合ってるよ。」
そう言って左手を差し出してきたので、私は右手でその手を繋いだ。
「ってか、どこで転けたの?」
絆創膏だらけの私の右手を見て和也が言う。
きっと繋いだ感触で気付いたのか、私の手をまじまじと見ている。
そのほとんどが切り傷なので、普通に床で転んだくらいじゃこんな風にはならない。
「うちね、レンガの敷石があるんだけど……そこで躓いちゃって。」
それは昨日、ママや先生にも同じ事を言った。
石は鋭いので、転べば簡単に切り傷が出来るのだ。
「マジか、痛そうだな。」
和也はそう言って、私の右手を自分の制服のポケットにしまった。
途端に右手が温かくなる。
繋いだ手と和也の温もりが、何だかとっても心地良かった。
「かなうは本当にほっとけないなw」
和也がそう言ったので、私は満足だった。
大丈夫、あの子じゃない事は勘づかれてない。