叶う。 Chapter2
真っ白な空間は、何故かとても幻想的だ。
モノクロの世界にいた私にとっては、白という色はとても明るい色に感じる。
見える物全てが、黒やグレーだったあの世界にたまに見える白はとても明るくて刺激的だった。
だけれどこうして色とりどりの世界に居ると、白は明るいと言うより落ち着いた色に見えるのが、何だか不思議だった。
私はいつもの柑橘系の泡を丁寧に泡立てて、しっかりと全身を洗い上げた。
肌はすべすべで心地よく、何だかその香りにも癒される。
頭の天辺から爪先まで綺麗に洗い終わると、シャワーの水を頭から流した。
壁に両手をついて項垂れると、肩にシャワーが流れ落ちてくるので、身体がすごく温まる気がした。
最近は色んな意味で身体を酷使しているので、何だかとても疲れていた。
身体から流れ落ちる水滴が、バスルームの床にポタポタと落ちる。
その中に完全に泡が消えた事を確認すると、私はそのままバスルームを出た。
バスルームを出ると、柔らかいタオルを頭まですっぽりと被り、要らない水分を拭き取った。
そしてパジャマをきちんと着込んでから、髪にしっかりとタオルを巻き付けてバスルームを後にする。
そしてそのまま水を取りにリビングに向かった。
私はいつもの癖で、リビングの前で耳を済ませたけれど、やっぱり今日は物音一つしない。