叶う。 Chapter2
「でしょ?見た目同じだけど、中身が別人なの!」
私もそう言って笑った。
やっぱり誰の目から見てもそう見えるんだと改めて思った。
"いやでも上のお兄さん、かなうに似てるな。なんか、雰囲気って言うか。オーラって言うか。やっぱり一緒に暮らしてると似てくるのかな?"
「え!?」
和也の言葉に私は心底驚いた。
だって私もアンナですら、あんなに無愛想じゃないし、態度も悪くない。
和也が何を比べてそう思うのか、とても謎だった。
「流石に似てないよ!」
"そうでもないよ?ふとした時に見せる表情とか、困ったみたいに笑う時とか、結構似てるよw"
和也は何だか楽しそうにそんな事を言ったので、私は否定するのは止めておいた。
それに言われてみれば、和也と凛の笑い方が似ているとアンナが思ってた事を思い出したのだ。
親子は良く似ると言うし、やっぱり一緒に居る時間が長ければ長いほど人間と言うのは似てくるものなのかもしれない、と思った。
私が思わず無言になってしまうと、和也は思い出したようにこう言った。
"そう言えば、明後日から冬休みだな。ピアノって冬休みもあるの?"
「え?もう、冬休みだっけ?」
私はそんな事すっかり忘れていた事に、自分自身でびっくりしてしまった。