叶う。 Chapter2
温かな繋いだ手の感触に、なんだかとっても安らいだ。
途中コンビニに寄ってお昼ごはんを買ったけれど、レジでお会計をしようとすると、和也は不思議そうな顔をして私を見ていた。
結局お会計は和也が支払ってくれた。
余裕があると言っていたし、この前あの子が和也の家に行った時のあの雰囲気から察するに、我が家程じゃないけれど、和也の家は充分に上流層なんだろうと思う。
私がそんな事を考えていると、和也がぼそっとこんな事を言った。
「今日はいちごオレじゃないんだ?」
やってしまったと思った。
ついうっかり、私はカフェオレを買ってしまったのだ。
あの子はいつも、いちごが大好きだった事を思い出す。
「たまには、良いかな?って。」
私はそう言って、いつもあの子がしていた様に少し困った顔で曖昧に笑った。
「……なんか、かなう本当に雰囲気変わったな。」
何故だか、凄く嫌な予感がした。
だから私は頭をふる回転させて、必死に言い訳を考えた。
これ以上、他人であろうと私の存在が知られたら何かと都合が悪い。
道行く同級生達が、物珍しげに私達を眺めて通り過ぎて行くけれど、私はもうこれ以上の選択肢が思い浮かばなかった。