叶う。 Chapter2
「そ・・・そうね。」
ママはそう言って明らかに動揺した様子で、キッチンに両手をついて暫く考える素振りをしていた。
自分では普通に話題を提供した気分だったけれど、何か聞いてはいけない事をきいてしまった気分になった。
そんな気まずい空気が流れる中、突然リビングの扉が勢い良く開いた。
「おはよ~」
双子が起きてきたのだ。
私は何故か少しほっとした。
朝から一人ご機嫌なレオンは、朝食を食べている私の頭の天辺にキスをすると、先に席に着いたシオンの隣に座った。
シオンはいつもと同じで、無愛想な顔をしていたけれど直ぐにおかしな空気を感じ取ったのか私を見つめてから、キッチンに居るママに視線を向けた。
「なんでそんな葬式みたいな顔してんの?」
いつもなら、きちんと空気を読むはずのレオンが突然そんな事を言い出した。
私は驚いて食べかけのパンを取り落としてしまった。
「レオン、黙りなさい。」
ママはそう言ってレオンに何かを言わせないようにしたかったんだろうけれど、それは逆効果だったようだ。
「ちゃんとアンナにも話したの?」
「・・・・これからよ。」
「家族だろ?何で黙ってんの?」
「大事な事だからよ。」
「大事な事だから家族で相談するべきだろ?」
「・・・分かってるわ。でも時間がないでしょ?学校なんだし、きちんとゆっくり話せる時にしたかったのに、あんたは本当に!!」
ママはそう言って勢いよくキッチンから出てくると、レオンの頭を叩いた。