叶う。 Chapter2
「冬休み遊ぼうね!」
教室を出ながら凛が楽しそうにそう言った。
「初詣も行きたいな。」
祐希が私達にさり気無くそんな提案をした。
「うんうん、そうだね。」
「・・・うん。」
私も凛もそれに同意した。
私は曖昧に微笑んで楽しみにしている雰囲気を作り出した。
珍しく和也がまだやってこない。
いつもなら、終わると直ぐにやってくるのに。
なので、私達の足は自然と和也のクラスに向かってた。
和也のクラスを覗くと、何だか和也はクラスの女の子数人に囲まれて、窓際で何やら話をしている様子だった。
「あの馬鹿、何してんの?」
凛は私達に聞こえるくらいの声でそう言ったけれど、私は黙ったままそんな様子をじっと眺めていた。
和也はまだこちらの様子には気付いていないようで、何やら真剣な顔で話をしている。
「ちょっと行って来る!」
凛はそう言ってクラスに入ろうとしたけれど、私はそれを止めた。
「大事な話かもしれないし、待ってようよ。」
私が静かにそう言うと、凛は何だかイライラした様子だったけれど私の意見に従ってくれた。
教室から少し離れて和也が出てくるのを待った。
私は何だか複雑な気分だった。
ヤキモチを妬きたいのか、怒りたいのか、そんな気分だったけれど、私にはもうそんなことする権利はない。
だけれどやっぱり気になって、もう一度クラスを覗き込むと何故か和也と話をしていた女の子の一人が泣いていた。