叶う。 Chapter2
「開けていい?」
和也はそう言って写真立てを手にしたので、私は笑顔で頷いた。
和也はそれを確認すると、丁寧に包装を外して箱の蓋を外した。
「すげぇ、何これ?綺麗だな。こんなステンドグラス初めて見た。」
和也は写真立てをマジマジと見ながら、驚いた顔でそれをゆっくり箱から出した。
「写真立てだって、私が気に入っちゃってそれにしちゃったの。」
「親父の店にステンドグラスいっぱいあるけど、こんな綺麗なの見たことないよ。」
和也はそう言ってまるで骨董品を扱う人みたいに、丁寧にそれを眺めた。
「めっちゃ嬉しい!ありがとうな。でも写真立てならかなうの写真飾りたいな。」
和也は突然そう言うと、自分の携帯を取り出して私の肩を抱いて二人で頬を寄せて写真を何枚か撮った。
私は何だか恥ずかしかったけれど、和也にされるがままだった。
「後でプリントしてこよ。」
「えぇ!?可愛く写ってるのにして!」
私はそう言って和也の携帯を見ようとしたけれど、和也は自分の背中に携帯を隠した。
「かなうは何でも可愛いから大丈夫w」
和也はそう言いながら、笑って私の髪を優しく撫でた。
何故かその瞬間、私は自分のするべき事を思い出した。
こんな風に、楽しく過ごす為にここに来た訳じゃない。
私は巧く和也と別れる選択をするために、ここに来ている事を忘れてはいけない。