叶う。 Chapter2
だけれど和也と二人のこの空間は、なぜか私の心を落ち着かせてくれる。
でも、もうダメだ。
私はシオンを、これ以上苦しめる訳にはいかない。
そもそも、私がアンナの代わりにあの約束をしてしまった事が全ての元凶なんだから。
どうしたら、和也は私に愛想を尽かすだろうか?
例え強引な別れを選んでも、学校で顔を合わせる度に苦しい想いをするくらいなら、嫌われた方がよっぽどましだ。
それに和也は何一つ悪くない。
むしろ悪いのは全て私だと、凛や他の人達にも分かるようにするべきなんだ。
私は例え全員に嫌われても構わない。
だけれど和也を悪者にはしたくない。
本当の事を話せば、きっと和也は私を庇うに決まってる。
そんな私の心を知ってか知らずか、和也はいつの間にか私の瞳をじっと見つめたまま、何かを考えているかのように不思議そうな顔をしていた。
そんな視線に気付いて、私は何だかとても居心地が悪く感じた。
何故かは分からないけれど、和也の瞳に見つめられると途端に見透かされているような気分になる。
上手く言えないけれど、何だかシオンに見透かされてるのと、同じ感覚がするのだ。
全く違う二人だけれど、何故かそんな風に感じる。