叶う。 Chapter2
自分が好きな人に抱かれるのが、こんなにも苦しくて、こんなにも幸せだと言うことを私は知らなかった。
シオンとは快楽を追求するだけの行為だったのだと、私はこの時初めて知った。
同じ男の身体なのにそこに心があるだけで、こんなにも幸せで温かい行為だなんて思いもしなかった。
幼い頃からずっと、こんな行為は男の欲求を満たす為にあるのだと、そう思っていた私にとって初めての経験だった。
身体はもうすっかり穢れてしまっているのに、何故だか気持ちはとても穏やかで、私は無性に泣きたくなった。
それは悲しくて泣くのではなくて、嬉しくて泣いてしまいそうだった。
私はもう2度とこんなに幸せな気持ちになれることはないんだろうと、頭の片隅で思った。
和也はきっとそんな私の気持ちに、気がついていたのかもしれない。
だからこそ、こんなにも切ない表情を浮かべて私を抱いているんだろうと思った。
次第に乱れる呼吸がとても苦しくて、私の口から小さく声が漏れる。
和也の額から流れ落ちる汗が、私の顔にポタリと落ちてくる度に、私は和也が泣いているような気がして胸が締め付けられる思いだった。
段々と激しくなる動きが、その幸せな時間があと少しで終わってしまうことを私に教えてくれた。
私はゆっくりと唇を噛み締めて、その瞬間が来るのをじっと待った。
和也は私を押し上げるようにぐっと私の一番深い場所に、自分の身体を収めると、荒い呼吸のまま私の唇に自分の唇を重ねた。