叶う。 Chapter2
その瞬間私の中で和也が果てたのが、身体の中から伝わってきた。
和也がゆっくりと私から唇を離すと、私は薄っすらと瞳を開いた。
途端に目の前に和也の綺麗な漆黒の瞳が映る。
その中に映る自分の姿が、何だかとても幸せそうに見えた気がした。
私はそんな自分に腹が立って、和也を押し退けるように起き上がるとさっさと脱ぎ散らかした服を着込んだ。
「・・・・かなう。」
和也が静かに私の名前を呼んだけれど、私は口を開く事すらせずにブラウスのボタンを閉じた。
「これで満足でしょ?」
制服のブレザーを着込むと、私は和也に冷たくそう言った。
和也は制服をはだけさせたまま、そんな私をじっと見つめていた。
「・・・もう、関わらないで。」
私は和也の方を向きもせずにそう言って、床に置かれたバッグとコートを手に取ると、逃げるように和也の部屋を出ようとした。
だけれど、ダンと音がして和也は部屋の扉が開かないように押さえつけた。
「・・・・。」
私はそんな和也を無言で睨んだ。
「ちゃんと話しよう。納得出来ない。」
私だって納得なんかしていない。
だけれど私にとって今しなくてはいけない事は、和也との幸せな時間を過ごすことじゃない。
「何が納得出来ないの?もうやることやったんだし、良いじゃない?何が不満なの?」
私は早口で捲くし立てるようにそう言った。