叶う。 Chapter2
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
あの後、私達は何故か床に正座をしてお互い無言で見詰め合っていた。
和也も私も、お互い一歩も譲歩するつもりがないのが張り詰めた部屋の空気からも分かった。
話したくない私と、聞くまで開放する気はない和也は、何故かお互いに無言のままじっと正座して見詰め合っていた。
ちらりとベッドに視線を向けると、ぐしゃぐしゃになったベッドでさっきまで行われていた事が嘘のような気分になった。
だけれどそれは全部現実で、さっきまで私と身体を重ねていた和也とこうして向き合って座っているのがなんだか酷く滑稽に思えた。
でもいつまでもこうして無言で見詰め合っているわけにもいかないので、私は頭の中できちんと和也が納得出来るようにだけど余計な事を悟られないようにする為に、言葉を繋ぎ始めた。
ある程度言いたい事をしっかりと纏めると、今度は質問された時にきちんと答えられるように内容を整理した。
勘の良い和也は、多分私の嘘は直ぐに見抜いてしまうので、なるべく真実を伝えるように、でも言わなくていい事は言わないように、聞かれないように、私は考えた。
静かな室内は物音一つしなくって、私は何だか酷く寂しくなったけれど、静かに息を吸い込むとゆっくりと話し始めた。