叶う。 Chapter2
「先生、私はこの子を引き取る時に決めていたんです。何があろうと、この子は私の子供です。例えこの子が、その……病気だとしても、私はこの子を育てます。検査だけなら構いませんが、その……この子をずっと入院させたくはありません。」
ママはきっと遠回しに、私を精神病院に入院させる気がないという事が言いたかったんだろう。
そして、先生はその言葉をきちんと理解した様子だった。
「いえ、念のため脳のMRIと身体に異常がみられないかの検査だけはしておいた方が良いと思います。入院するのが嫌なようなら、予約で検査だけしておきませんか?」
ママが私の様子を伺うように覗き見たので、私はポロポロと涙を流してママを見つめ返しておいた。
「……アンナ、検査だけなら大丈夫?ママと一緒に行きましょう?」
ママが優しくそう言ったので、ゆっくりと頷いた。
それからママと私は毎週病院に通う約束をして、検査の紹介状と処方箋を貰って病院を出た。
そして先生はママに何やら手紙のような物も一緒に渡していた。
私はそれが気になったけれど、下手に動くと怪しまれかねないので大人しくしておく事にした。
病院に通うのは面倒臭いけど、入院させられるよりはよっぽどマシだ。
昨夜から、私はやっと自由になれたのだから、檻に容れられるは流石に勘弁願いたい。