叶う。 Chapter2
「さっきも言ったけど・・・」
「うん。」
「兄がずっと大事にしていた人が居たの。」
「うん・・・」
「だけどね、その人は消えちゃった。」
「・・・なんで?」
「兄はその人の事をずっと好きだったの。私はそれを知っていたけど、その人は兄が自分を好きだと気付いてなかった。」
「・・・。」
「私は兄の気持ちも、その人の気持ちも知っていたけど、その人に教えてあげなかった。」
「どうして?」
「私はその人を恨んでいたから。」
「・・・・・。」
「兄に愛されてるその人が羨ましかった。兄はいつもその人に優しい眼差しを向けてた、だけど、その人は自分は兄に愛されてないと思ってたの。」
「その人とかなうが何の関係があるの?」
「私は兄の前から、その人の存在を消したの。」
「どういう意味?」
「私は・・・・その人がもう2度と兄と会えないように仕向けた。だからその人は兄の前から姿を消したの。」
「それは、かなうがお兄さんが好きだったからそうしたの?」
「違う、兄の事は好きよ、兄妹として。」
「じゃあ、どうしてそんな事したの?」
「私はその人を恨んでいたから。皆から愛されて、私と違って純粋で汚れを知らなかったその人を、ずっと恨んでた。」
「・・・・その人は今何処に?」